スタッフの一言から始まった「手書きおなまえ刺繍プロジェクト」
2020年に訪れたコロナ禍。さまざまなイベントが中止になり、大人だけでなく子どもたちも本来は行われるはずだった楽しいイベントが体験できず、制限のある生活が続きました。
そんな中でも伊織として「今だからこそできることはないか」と悶々と考えていたところ、ある日の会議でのスタッフの一言からプロジェクトが発足しました。
「字を書き始めるようになった子どもの文字を、そのままタオルに刺繍したい」
生活様式が変わって苦しいことばかりではなく、よりよい発見や進化したこともたくさんある。そして、楽しい思い出は一つでもたくさんあった方がうれしい。
小さな手で書いた拙い文字が、消えることなくずっとタオルに残ることで、使い込んでヨレヨレになってしまったあとも、そのまま大切な記憶として手元に残してもらえたら。
そんな想いを込めて、2021年から本格的に「手書きおなまえ刺繍プロジェクト」が動き始めました。
この記事では、発足当初よりご縁の続く道後聖母幼稚園での開催の様子をお届けします。
卒園の思い出に自分だけのハンカチづくり
まず初めにこの企画にちなんで、名前にまつわる絵本「しあわせになぁれ」を読み聞かせ。
「名前は親からの最初の贈り物。幸せになぁれという祈りが込められているんだよ」という先生からのメッセージを、しっかりと聞く園児たちの姿が
糸の色とハンカチの色の選び方、書き方の説明の後は、いよいよハンカチづくり。
園児たちは、どんどんと力強く文字を書いていきます。
よし書けた!書き終えて、みんな自分の文字を誇らしげに見せてくれました。
園児の手書き文字を刺繍で再現するためのデータづくり
園児たちが書いた「おなまえ」を受け取ると、次は私たち伊織の出番。 手書きの文字を、刺繍で再現するためのデータづくりに取り組みます。
はじめに、手書き文字の原稿を画像データに変換し、原稿通りになるよう微調整を加えます。 クレヨンで書かれた文字はかすれたところが薄く取り込まれてしまうので、その部分を補ったり、書き順で糸が重なるよう整えたり……。
何度も試し縫いをしては修正してを繰り返します。一人分ずつのチェックが終わってから、ようやく本番の刺繍に取り掛かることができます。
園児たちの文字は、力強くダイナミックなものもあれば、すごく丁寧に書いているものも。とにかくみんな一生懸命書いた様子が文字から想像できます。
完成品を見て園児たちに喜んでもらえるかドキドキしながら、刺繍作業を進めていきます。
卒園式で刺繍ハンカチを手渡し
こうして完成した刺繍ハンカチを、卒園式の日に園児たちへ届けにいきました。

先生から園児たちひとりひとりにハンカチが手渡されると、うれし恥ずかしそれぞれの表情を浮かべてくれました。
みんな揃って、笑顔で卒園式を迎えることができて本当によかったです!
卒園して、今は新しい環境でたくさん刺激を受けていることでしょう。
がんばったときの汗も、うれしい涙も悲しい涙も、やさしく拭いとってくれる頼もしいハンカチとともに、すこやかに成長されることを祈っています。
クシャクシャになっても大丈夫!そんなときは洗って伸ばして、いつまでも気持ちよく使ってもらえたら何よりです。