2025.10.10

伊織と紡ぐ 

道後のタオルブランドがアートを通した地域活性化に参画する理由


道後温泉では、写真家で映画監督の蜷川実花さんを招いたアートプロジェクト『蜷川実花 with EiM × 道後温泉 DOGO ART』が、2025年10月10日(金)よりスタートしました。

“アート×道後温泉”の取り組みが始まったのは2014年。

当時、本館の保存修理工事の開始を前に「工事中であっても道後温泉に訪れて楽しんでもらえるきっかけを作ろう」とプロジェクトが始動しました。行政のみならず、温泉旅館と商店街、そして道後のまちの人々が共同で取り組み続けてきました。

伊織もプロジェクト開始当初から参画しており、今回はタオルハンカチ・手ぬぐい・サウナハットの3商品の発売が決定。“愛媛の文化発信の拠点”として道後に店舗を構える伊織が、なぜアート×地域活性化の取り組みに参画するのかをお伝えします。



まもなくスタート!『蜷川実花 with EiM × 道後温泉 DOGO ART』

『蜷川実花 with EiM × 道後温泉 DOGO ART』は、2025年10月10日(金)〜2027年2月28日(日)まで1年4ヶ月にわたって開催されます。

コンセプトは『いのちの咲く湯 -A Place for Blooming-』。昨年改築130周年を迎え、長い歴史の節目に立つ国の重要文化財・道後温泉本館に「アート」という息吹が再び吹き込まれます。

蜷川さんと道後温泉の関わりは、2015年にメインアーティストとして招いたところから始まります。その後も本館や飛鳥乃湯泉のインスタレーションなど、継続的に作品を提供いただいています。

アートプロジェクトを継続するなかで、道後温泉にもポジティブな変化が生まれていきました。近年では「女子旅に人気の温泉宿」へとイメージ刷新がなされ、新しい観光客とともに賑わいのあるまちが作られています。

伊織のこれまでの取り組み

伊織では、この“道後温泉×アート”の取り組みに開始当初から参画しています。

一番最初のコラボレーションは、フランス出身の現代美術家・ジャン=リュック・ヴィルムートさんとのタオルハンカチ制作。その後も、アパレルブランドのBEAMSとのタオルのバッグやハンカチの制作などさまざまな商品が誕生しました。
2015年には蜷川さん監修のもとオリジナルハンドタオルを制作。タオルという柔らかい素材であることを踏まえ、「蜷川カラー」と称される鮮烈な色彩からトーンを落とし、優しさが伝わる色味に調整するなど、細かい気配りとこだわりを詰め込んだ商品になりました。

その後も、愛媛県宇和島市を拠点に活動されるアーティスト・大竹伸朗さんとのコラボレーションを2022年に実施。道後温泉本館の保存修理工事に伴う素屋根テント膜として制作された作品をタオルハンカチに落とし込みました。

伊織の取り組みは商品づくりに留まりません。

東京藝術大学美術学部長・日比野克彦さんがメインアーティストを務めた2019〜2020年には、伊織の店舗内にダンボールを用いた体験型アート「ひみつジャナイ基地」が誕生。

お互いのひみつをひみつじゃなくする(=共感・共有する)ことで、多様性を認め合うという目的の通り、ひみつジャナイ基地を通じて多くの交流が生まれ、“オール松山・オール道後”の参加型アートプロジェクトを象徴する取り組みとなりました。

また、「アート&クラフト」がテーマとなった2023年には、クリエイターによるポップアップショップ「DIRECTORS MARKET」として店舗の一角を提供。アーティストの大竹彩子&大竹笙子姉妹による砥部焼のお皿やオリジナル作品を瓶に落とし込んだ奥南の100%みかんジュースなどが販売されました。

アーティストからインスピレーションをもらえる貴重な発見の場に

アートプロジェクトへの参画は、伊織にも新しい発見をもたらしています。

さまざまなアーティストが独自の視点で地域資源を掘り起こして磨いていくプロセスは、今後のブランドづくりへのインスピレーションをもらう貴重な機会になっています。もちろんコラボ商品は簡単には誕生しません。質感や色味など、さまざまなご提案やフィードバックいただくなかで、商品づくりの視点や技術の成長にもつながっています。

伊織ではこれからもアート×地域活性化の取り組みに参画しながら、よりよいブランドづくりにつなげていきます。